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過払い金は書類なしでも大丈夫?

  1. 過払い金で書類なし?
  2. 履歴書類が無ければどうするの?
  3. 取引履歴の開示が請求できる法律的な根拠



過払い金で書類なし?

過払い金で書類なしの場合はどうなる?
過払い金請求をする場合には、それまでの取引履歴を元にして計算をし直す必要があります。
そのため、過払い金請求を依頼する場合には、これまでの明細などの書類が必要だと言われることがあります。

ところが、これまでの取引履歴書類なんてなくしてしまったという方も少なくありません。
結論から言えば、書類がなくても大丈夫です。

履歴書類が無ければどうするの?

取引履歴の書類がない場合には、貸金業者に取引の履歴を出してもらうように請求します。
貸金業者には履歴を保存する義務と、閲覧に応じる義務があります。(法律的な根拠は後述)

貸金業者から履歴を取れない場合や、どの業者から借りているか忘れてしまった場合の次の手段として、「信用情報」を取り寄せることができます。
そもそも過払い金が発生する業者は、信用情報機関である「CIC」か「JICC」に登録されています。
ですから、これらの信用情報機関に問い合わせることでそれまでの取引履歴を知ることができるのです。

もちろん、これらの手続きは弁護士がしてくれるので、依頼者が自分で手続きする必要はありません。



取引履歴の開示が請求できる法律的な根拠

もし取引履歴がない場合でも、弁護士に依頼すれば金融業者に取引履歴の開示を請求することができます。
しかし本当に金融業者が素直に履歴を出してくれるかどうか不安に感じる方もいます。
金融業者が不利益になるような証拠を出してくるはずがないと思うかもしれません。

実際、これまですんなりと取引履歴を開示せず渋ってきた金融業者の例もあります。

最高裁判所の判決 このような問題に道筋をつけたのが最高裁判所で行われた「平成17年7月19日 過払い金請求事件」の判決です。

法律文献等の出典 平成17年7月19日 最高裁判所第三小法廷
貸金業者の債務者に対する取引履歴開示義務の有無
貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り、貸金業の規制等に関する法律の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、その業務に関する帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う。
参照法条  民法1条2項・民法587条・民法709条・貸金業の規制等に関する法律19条・貸金業の規制等に関する法律施行規則16条
裁判所判決
この最高裁判所で行われた判決により、取引履歴の開示に応じるべきであるという判例が作られたのです。
ただ、「濫用にわたると認められるなど特段の事情」が無い場合という条件がついていますが、濫用と認められるケースはあまり無く、ほとんどの場合は開示が認められると言われています。


貸金業法の改正 この最高裁判所の判決の後に、「貸金業法」という法律も改正されました。
貸金業法は金融業者を規制するための法律で、その法律の中で取引履歴の開示についても決められたということです。

法律文献等の出典 平成17年7月19日 最高裁判所第三小法廷
第19条
貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。(帳簿の閲覧)

第19条の2
債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。(特定公正証書に係る制限)
e-Govで法律全文を確認
この法律のポイントは次の点です。
貸金業者は帳簿をつける義務がある
帳簿の閲覧を拒むことができない

このように金融業者は取引履歴を保存しなければならず、履歴の開示を認めなければいけないのです。

自分の正確な取引履歴が取得できるか不安な場合には、まずは弁護士に相談してみましょう。

過払い金の請求に書類なしでもOK。
金融業者に取引履歴を依頼したり、信用情報機関に問い合わせる方法がある。