「弁護士の義務」について日本弁護士連合会が決めているルール

弁護士の義務」は言い換えると「依頼者が受けられる大切な権利」でもあります。
日本弁護士連合会では、債務整理の時に弁護士が「行わなければならないこと」についてのルールを定めています。
このページでは日本弁護士連合会公式サイトの情報をもとに、弁護士の事件処理方法についてのルールをご紹介します。

債務整理依頼を受けた弁護士の義務

  1. 弁護士が面談を行わなければならない
  2. 分かりやすい説明
  3. 弁護士名を知らせる義務
  4. 都合の良い過払い金請求の禁止
  5. 依頼主に報告する義務

弁護士が面談を行わなければならない

弁護士が依頼人と会わずに債務整理を行うことはできません。
「メールだけで受け付けます」「電話だけで受付可能」というのはNGです。
面談に出向かなければいけないという面倒さを感じることもあるかもしれませんが、場所や時間について柔軟に対応してくれる弁護士を選ぶことも必要です。
債務整理事件処理の規律を定める規程(平成23年2月9日会規第93号)第3条
弁護士は、債務整理事件を受任するに当たっては、あらかじめ、当該事件を受任する予定の弁護士(複数の事情があるときは、当該事情がやんだ後速やかに、自ら面当該債務者と自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取しなければならない。
ただし、面談することに困難な特段のある場合にあっては当該弁護士法人の社員又は使用人である弁護士のうち少なくともいずれか一人をいう。 )が、弁護士が受任する予定である場合にあっては少なくともそのうちのいずれか一人を、弁護士法人が受任する予定で談をして、次に掲げる事項を聴取することで足りる。


日本弁護士連合会 債務整理事件処理の規律を定める規程(PDF)

分かりやすい説明

弁護士は依頼者に対して、債務整理の方針を分かりやすく説明しなければいけません。
依頼者にとってのデメリットも説明する必要があります。
かかる費用についても説明します。

質問しづらい雰囲気であったり、話を急ぐようなそぶりを見せたりするような弁護士は十分に検討することが必要です。
債務整理事件処理の規律を定める規程(平成23年2月9日会規第93号)第5条
弁護士は、前条の規定により弁護士費用について説明をするに当たっては、債務者に弁護士費用に関する誤解が生じないようにし、かつ、自らの弁護士報酬の額が適正かつ妥当であることの理解を得るよう努める。
2弁護士は、弁護士費用に関する事項を委任契約書に記載するに当たっては、当該債務者に弁護士費用に関する誤解が生じないように努める。


日本弁護士連合会 債務整理事件処理の規律を定める規程(PDF)

弁護士名を知らせる義務

債務整理を受けた弁護士の名前を明示しなければいけません。
匿名で債務整理を請け負うことはできません。
債務整理事件処理の規律を定める規程(平成23年2月9日会規第93号)第7条
債務整理事件を受任した弁護士又は弁護士法人は、当該債務者に対し、速やかに、弁護士にあっては氏名(職務上の氏名を使用している者については、職務上の氏名をいう。以下同じ。 )及び法律事務所の所在場所(法律事務所に名称がある場合にあっては、その名称を含む。以下同じ。 )を、弁護士法人にあっては当該弁護士法人ある弁護士が所属する法律事務所の所在を担当する社員を指定した場合にあっては、当該社員)又は使用人である弁護士の氏名及び当該社員又は使用人での社員(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三十条の十四の規定に基づき当該債務整理事件について業務場所を明示しなければならない。


日本弁護士連合会 債務整理事件処理の規律を定める規程(PDF)

都合の良い過払い金請求の禁止

過払い金請求は借金をすべて解決するのが目的です。
過払い金だけを受け取り他の借金を返済しないこと(過払金返還請求のつまみ食い)の依頼には原則応じません。

これは借金の解決は依頼者本人の利益を第一に考えているからです。
目先のことばかりではなく、今後の人生を考えた長期的なプランを勧めてくれる弁護士に出会うことが大切です。
債務整理事件処理の規律を定める規程(平成23年2月9日会規第93号)第8条
弁護士は、債務者から過払金返還請求事件の依頼を受けるに当たっては、当該債務者が負担している他の債務の有無、内容及び件数を確認し、当該債務者が負担する全ての債務に関する事項を把握するように努める。
債務者から過払金返還請求事件の依頼を受けて事件処理を行っている間に、当該債務者が他の債務を負担していると思料される事情があることを知ったときも、同様とする。
2 弁護士は、債務者が負担している他の債務があることを知りながら、当該他の債務についての債務整理事件の依頼を受けずに過払金返還請求事件のみの依頼を受けてはならない。
ただし、弁護士が当該他の債務について債務整理を行わない場合に生じる可能性のある不利益について説明し、その説明を受けても当該債務者が当該他の債務についての債務整理事件を依頼することを希望せず、かつ、その理由が不当な目的に基づくものではないと認められるときは、この限りでない。


日本弁護士連合会 債務整理事件処理の規律を定める規程(PDF)

依頼主に報告する義務

弁護士は事件がどのように解決したかについて依頼主に報告する義務があります。
「終わりました」だけではなく詳細な報告をしっかり聞くようにしましょう。
債務整理事件処理の規律を定める規程(平成23年2月9日会規第93号)第17条
弁護士は、受任した破産手続開始申立事件及び民事再生手続開始申立事件について、裁判所から決定書その他これに準ずる書類を受領したときは、速やかに、その原本又は写しを債務者に交付しなければならない。


日本弁護士連合会 債務整理事件処理の規律を定める規程(PDF)

このように、債務整理を依頼する際には弁護士が行わなければいけないことについて日本弁護士連合会ではルールを定めています。

もしも依頼した弁護士がこれらの手順を省いたりする場合には、そこに依頼するかは慎重に検討してみることも必要です。
または、このページでご紹介した「日本弁護士連合会」の公式サイトを開いて、その内容について弁護士に聞いてみると良いかもしれません。
例外となるケースや個別の事案ごとに柔軟に対応している場合もあるかもしれません。
公式サイトはこちらから:日本弁護士連合会 債務整理の弁護士報酬に新たなルールを作りました 「任意整理」について弁護士がしなければいけないことについてルールが決められている。
説明不足であったり手間を惜しむ弁護士なら、落ち着いて検討することも必要。

ルール一覧に戻る